ユトリロとヴァラドン~母と子の物語~


東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で
『ユトリロとヴァラドン~母と子の物語~』を鑑賞した。

フランス、モンマルトルの画家、
シュザンヌ・ヴァラドン(1865~1938)の息子が
モーリス・ユトリロ(1883~1955)である。

絵はもちろんであるが
惹きつけられたのは
二人の強烈な生涯である。


今回私がこの美術館に足を運んだのは
常設してあるゴッホの『ひまわり』が目的だった。
ヴァラドンとユトリロについてはほぼ知らず、
サラリと通り過ぎるつもりだった。

これまでにユトリロの絵は美術館で何度か
目にしたことがあったが
ヴァラドンは初めてかもしれない。

ヴァラドンは10代の頃、
あこがれのサーカス団に入りブランコ乗りをするが
落下し負傷、続けられなくなる。
生きるために絵のモデルを始める。
ルノワール、ロートレックなどのモデルとなり
それをきっかけに、自らも画家になっていく。

このくだりからしてドラマチックだ。
一気に惹きつけられた。

ヴァラドンは恋多き女性というのか、
その節操のなさに驚かされたのだが、
ロートレックと同棲、ドガに気に入られ、
音楽家のエリック・サティと交際するも半年後に破局・・・
などなど、
どんだけ魅力的な女性なんだと思わされる。

その激しい流れの中で
画家としての成功を手に入れる。
自由奔放なのか、
策略的なのか
経歴だけ読んでいると分からないが
ヴァラドンが生きるとこうなった、
自分を生きるとこうなったということなのだろう。


18歳でユトリロを生む。
父親が誰なのかは分からないが、
ジャーナリストのミゲル(ミゲル・ユトリロ)に認知され、
世話をしていたのは、ほとんど祖母だったようだ。

そんなユトリロは
アルコール依存症の治療で
絵を描き始めた。

ヴァラドンは資産家と結婚している時に
ユトリロの友人で21歳下のユッテルと恋に落ちる。
後に結婚、49歳の時である。

このヴァラドンとユッテルの恋愛によって
ユトリロは全てを失った。
これまでの義父からの金銭的援助、
母の愛情、ユッテルとの友情・・・・・・・・・。

こんなことがあっていいものだろうか・・・・・・・・。
あまりの衝撃だった。

自分の友人と結婚する母・・・。
自分の母親と結婚する友人・・・。

自分は何なの?
と混乱するだろう・・・。
いや、絶望であろう。

息子のことを考えるとそんなことはできない
とはならないところが凄過ぎる。
把握しきれない数の男を惹きつけ翻弄した女性、
絵を描く才能を開花させ、
自分を生き抜いた女性ヴァラドン。
ヴァラドンに翻弄された
男の一人と言えるだろう息子ユトリロ。

壮絶だ。



『ユトリロとヴァラドン』、
6月28日まで(休館日:月曜日)やっているようです。




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